『夜をこえて、私になる』
第五章 ちいさな安心、ちいさな秘密
「ねえ、沙希。なんか最近、表情やわらかくなったね」
放課後、夏海がふと口にした言葉に、沙希は思わず笑ってしまった。
「そう? そんな自覚ないけど……」
でも、たしかにあった。
以前よりも夜が怖くない。おむつに触れることへの抵抗も、ふとした瞬間に溶けていっている。
(……あの人が、優しくしてくれたからかもしれない)
* * *
週末の夜。
ふとした興味で、ネットショップをのぞいていた沙希は、あるページに目を奪われた。
「……これ、子ども用?」
パステルカラーのくま柄。ふわふわの立体ギャザー。まるでぬいぐるみみたいな柔らかさが、画面越しにも伝わってくる。
(……可愛い……!)
心がきゅっと鳴った。
(もし、こんなのを穿いて、眠れたら……私、もっと安心できるのかな。本当の子どもみたいになれるのかな)
そんな自分の考えに、沙希は驚いていた。数ヶ月前なら、絶対に考えもしなかったこと。
けれど今は、**「甘えたい」**という気持ちが、胸の奥にほんのりと芽生えていた。
「……一回だけなら、いいよね」
そうつぶやいて、ポチッと注文ボタンを押していた。
* * *
届いたおむつは、想像以上に“幼くて、可愛くて、やさしかった”。
休日の誰もいない午後、沙希は家族にバレないように静かに自室へ向かった。いつもよりも部屋が遠くに感じる。何か悪いことをしているようで、ドキドキと心臓の音が全身に響き渡る。
(なんだろ……すごく心が熱いよ……!)
咲希は背徳感を感じながらも、これから自分が”子ども用のおむつ”を穿くんだと思うと期待の方が大きく、おむつを持つ手は震えていた。
まるで儀式のようにそっと身につける。
包まれた瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。
(あぁ……いけないこと、しちゃってるのかな。でもすごく安心する)
そして、ふと部屋の姿見に子ども用のおむつを穿いた自分の姿が映る
(・・・!!)
本当に自分が子どもに戻ってしまったような倒錯感に襲われ、すぐに目を背けてしまった。
突然の感覚にどうしていいか分からなくなって、抱きしめたクッションに顔を埋めてしばらくすると・・・
咲希は、わざとおむつにおもらしをしていた。背徳感と開放感。
下腹部に感じる温かな湿りが、まるで何もかもが許されるような感覚になって――
「おかえり、私」
そんな言葉が自然とこぼれた。
恥ずかしい。でも、心地いい。
それは「弱さ」ではなく、「必要な甘え」だった。
* * *
数日後――兄の部屋でまた顔を合わせた高嶺先輩は、前よりも少しだけ沙希に話しかけてくれるようになっていた。
「そういえば、あの本の続編、読んだ?」
「はい。……あの、よかったら、貸しましょうか?」
沙希は、少しだけ勇気を出して言った。
高嶺は驚いたように笑って、「ありがとう。楽しみにしてる」と返してくれた。
その声が、背中にやわらかく触れた気がした。
「……沙希ちゃんってさ、ちゃんと大人なんだね」
「……え?」
「自分のことを受け止めて、選んでる。簡単なことじゃないと思うよ」
その言葉に、胸がじんわりと熱くなった。
(……私、大人、なのかな)
でも――
おむつの中に包まれて、甘えている自分もいる。
沙希は、その相反する感情のどちらも否定しないことにした。
大人であっても、甘えていい。そう思えるようになっていた。
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ついに子ども用のおむつに手を出したちゃったね☺️
やっぱりギャップっていいよねっ
ドキドキ💓
パイセンとのこれからもドキドキ笑

大人なんだからいけないことって分かってるし、しっかりしたい気持ちもあるけど、甘えたくなっちゃう時もあるよね!
そういう時に素直に甘えられる人がいるって、幸せなことよね😌
でも咲希ちゃん、先輩に子ども用もバレちゃわないかな💦